媒体別認知率計画法

出稿計画と市場調査:
「媒体別の目標認知率の算出方法」

ブランドの売上目標を達成する為に必要な、メディアごとの目標認知率を推定

  

新製品の冷凍食品を上市するにあたり、媒体計画を検討しています。売上目標を達成するには、どのようなメディアでどれ位の認知率を獲得すればよいのでしょうか?

 TVCMや雑誌などの媒体に広告を投下すれば認知率は上がりますが、そもそも獲得すべき認知率はどう決めれば良いのでしょうか?目安として何%くらい、というのを求める方法はありますか?メディアプランは広告代理店が提案してくれるのですが、どのメディアでどれ位認知率を獲得すれば売上目標が達成できるかという目標設定については、発注側で管理する必要があると思っています。

 

目標とする売上額を達成する為に必要となるターゲット全体認知率をまず求め、そこから各媒体ごとの目標認知率を最適化計算により算出します。

メディアごとの目標認知率は以下の2段階で設定していきます。

1.売上目標を達成する為に、ターゲット全体でどれ位の認知率を獲得すればよいか算出
2.全体認知率を獲得するには、各媒体でどれ位の認知率を獲得する出稿計画を策定すればよいか算出

 広告代理店はメディアプランは提案してくれますが、発注側にとって重要なのは「その媒体計画で目標認知率が獲得でき、結果として売上目標が達成できるのかどうか」です。従って、各媒体ごとに獲得すべき認知率をKPIとして設定し、発注側のメディアプランの選定基準とすることで、媒体計画のスコープマネジメントを行う必要があります。

 

マーケティング現場の事情と課題

 製品の認知を拡大することが目的の広告の場合、メディアプランを作成・評価する際に重要なポイントとして以下の3つが挙げられます。

1. 目標とする売上や利益を達成する為に、どれ位の認知率が必要なのかという基準から目標認知率を設定する
2. 各媒体において達成すべき認知率を広告代理店に具体的に指示して、媒体出稿計画を提案してもらう
3. 過去の類似製品での実績や、プランナーの経験則を取り入れる

 広告やプロモーションのゴールは、最終的には売上と純利を増加させる事です。従って、まず目標とする売上高や利益目標がありきで、「それを達成するにはターゲット全体でどれ位の認知率が必要なのか?」と考える事が重要です。

 広告代理店へのブリーフには基本的に広告の目的、目標、ターゲット、エリア、スケジュール、広告予算を記載すると思いますが、「発注側のKPI」も明確に設定して伝える事をお勧めします。広告の目的が、ある一定の売上を獲得する為に必要な認知率を獲得する事だとすれば、それを実現する手段は、広告代理店が提案する媒体計画になります。結局、発注側にとって重要なのは「その媒体計画で目標認知率が獲得できるのかどうか」ですので、発注側が各媒体ごとに獲得すべき認知率を知り、設定する事は、KPIとして発注側のスコープマネジメントになります。

 また、過去の類似製品や同一カテゴリでのメディアミックスとその時のアクチュアルの認知率から、経験則的にメディアプランニングをする事があると思います。経験則だけで広告出稿すると、最適な予算配分ができなくなるというデメリットがありますが、逆にメリットは過去のアクチュアルのデータが媒体別の認知率のノルム値(このメディアは大体これ位の認知率がとれる)となることです。メディアシミュレーションにおいては、このノルムを組み込む事で、モデルの予測が大きく外れるリスクを減らす働きをしてくます。

 ここでは、上記1~3のポイントを組み入れて、売上目標を達成する為に必要な、媒体別の目標認知率を算出するロジックと手法を紹介します。

分析のゴール

売上目標を達成する為に必要な、媒体別に獲得すべき目標認知率の算出

分析のロジック

1
売上目標を達成する為に必要な、ターゲット全体での目標認知率を算出

トライアルリピートモデルなどの売上/販売量予測モデル(コチラ)を用いたシミュレーションから算出します。対象製品が既にある状態なので、市場調査により予測モデルに必要な他の変数(トライアル率やリピート率など)の値が一意に求まります。目標認知率は、他の変数がモデルに与えられた状態で、売上目標値を達成する為の認知率をシミュレーションする事により算出可能です。

2
類似製品の出稿計画とその調査データから、媒体別の認知比率をノルム値として算出

過去に上市した類似製品・類似カテゴリのメディアミックスと、その製品の認知媒体(消費者が製品をどこで認知したか)のデータから、媒体別の経験則値(このメディアは大体これ位の認知率がとれる)を算出します。このノルムを組み込む事で、モデルの予測が大きく外れるリスクを減らします。

3
媒体別の目標認知率の算出

2で算出したノルムに沿って、1で算出したターゲット全体認知率を達成する様に、媒体別の目標認知率を最適化計算により算出します。

アウトプットの解釈

 まず売上目標を達成するために必要となる、ターゲット消費者”全体”での認知率を計算します。上図はその目標認知率を売上予測モデルによって算出するイメージです。ここでは商材が冷凍食品なので、トライアル購買とリピート購買という2つの購買行動を前提として売上を予測する、「トライアルリピートモデル」を予測モデルとして使用しています。

 トライアルリピートモデルでは、売上を予測するために必要な変数として、上市する製品のトライアル率、リピート率などの値を市場調査によって求め、配架率、フェイス率などの値にはマーケティングの計画値を設定していきます。これらの値を設定したモデル上で、予測売上が売上目標値に到達するような「認知率」をシミュレーションにより逆算することで、売上目標を達成するために必要な全体認知率が求まります。この例では、ターゲット消費者全体で認知率30%を獲得することで、年間の目標売上を達成できるとして話を進めます。



 さて、ターゲット全体で30%の認知率をとるには、どの様な媒体で、どれ位の認知率をそれぞれ獲得すればよいでしょうか。媒体ごとに獲得すべき認知率は、モデルの予測が大きく外れることがないよう、過去の類似製品や同一カテゴリ製品のメディアミックスにおけるアクチュアルの認知率(実際に獲得できた認知率)データを参考に求めていきます。具体的には、媒体ごとに、その媒体で認知した人数比をノルム値として設定し、その比率に合わせて目標認知率を算出します(認知媒体の重複は許します)。

 上表では、「TVで認知した人数」を”1”とした時の、媒体ごとの認知比率をノルム値として算出しています。「雑誌で認知」は”0.20”となっていますので、この製品カテゴリではTVは雑誌の5倍の認知ポテンシャルを持つ媒体と考えることができます。従って、TVの目標認知率は雑誌の目標認知率の5倍になるように算出されることになります。

 先ほどの売上予測モデルから、ターゲット全体での目標認知率が30%と求まっている為、上記の様な媒体別のノルムを制約として課した上で、全体として30%の認知率が獲得できるように最適化計算を行うと、”「TVで認知」=24.2%、「雑誌で認知」=4.8%”といった媒体別の目標認知率が算出されます(この時、媒体別の目標認知率は、ノルムの認知比率に合わせた比率で算出されています)。

 このように、「媒体別認知率計画法」では、売上目標を達成する為に必要な各媒体ごとの認知率を過去の実績・経験則を参考に算出することができます。これを各媒体の目標認知率として設定し、それを達成できるようなメディアプランを作成する事で、媒体計画全体のスコープマネジメントを行うことが可能となります。


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