ブランドコミュニケーションポートフォリオ
コンタクトポイントでのコミュニケーション
「メッセージ最適化」
消費者の購買行動促進へ最適な効果を発揮する
ブランドコミュニケーション編成
アウトプットの解釈

ブランドコミュニケーションポートフォリオを使って、購買プロセス上の問題を解消する為の顧客接点とメッセージの組み合わせを求めてみましょう。
まず、ターゲット消費者の購買行動、つまり”製品の買われ方”をモデル化します。この例では、購買行動モデルとして「認知」「興味」「理解」「購買」「継続」という5つのステージから成るファネルを想定しました。そしてファネル分析を行い、現在購買プロセスのどこに問題があるのかを特定します。上記例では、「理解→購買」のプロセスで停滞が起こっている状況を想定しており、このプロセス停滞を解消することがコミュニケーション戦略上優先して対処すべき課題と考えられます。

次に、問題があるプロセスに対して、顧客接点とメッセージの組み合わせが、現状どの程度購買行動を促進する力(ドライバー力)を持っているのか把握します。例では「TVCM」、「雑誌記事」、「製品パッケージ」の3つの顧客接点を取り上げ、それぞれの顧客接点においてコミュニケーションメッセージが持つドライバー力を解析により算出し、ポートフォリオにまとめています。例では3つの顧客接点のみを取り上げていますが、実際の分析では考えうる全ての顧客接点とそこで伝えているメッセージをポートフォリオ内に設定します。
上記ポートフォリオを見ると、停滞が起きている「理解→購買」のプロセスに対して「雑誌記事」の”製品機能の説明”というメッセージはある程度強いドライバー力を持っていますが、「TVCM」と「製品パッケージ」のメッセージのドライバー力は弱い事が分かります。

そこでTVCMと製品パッケージの現状のメッセージを、ドライバー力がより高い代替メッセージに変更してみます(代替案のドライバー力も現状案と同時にデータを収集し、解析により算出しておきます)。上記の解析結果を見ると、TVCMは「自然由来の成分」をコミュニケーションし、製品パッケージからは「安全性」が感じられる様にする事で、現状のブランドコミュニケーションの問題点を補い、「理解→購買」という購買行動の促進効果を高めることが期待出来ます。
ちなみに、メッセージは”自然由来の成分”のように具体的な内容を直接設定する事もできますが、”機能説明型”、”価格改定告知型”、”シーン・用途提案型”といったメッセージ「類型」に分類した上でポートフォリオにまとめる事も可能です。
さて、ここまでは『購買プロセス上で停滞が起きている箇所を特定し、その停滞を解消する為の顧客接点とメッセージの組み合わせ』を求める過程を説明してきました。次に視点を変えて、『購買プロセス全体をまんべんなく促進する為に最適な、顧客接点とメッセージの組み合わせ』という、購買プロセス全体の促進に必要なコミュニケーション戦略を求めてみます。

上図は最適化計算を行い、購買プロセス全体に対して、総合的な促進力が最大になる顧客接点とメッセージの組み合わせを算出した例です。この例では、「TVCM×”品質の高さ”」「雑誌記事×”信頼できるブランド”」「製品パッケージ×”安全性”」の組み合わせが、購買プロセス全体に対して最適な組み合わせとして算出されました。
最適化計算では、顧客接点ごとに1つのメッセージ選び、組み合わせた際に、
・購買行動の促進力の合計(各プロセスへのドライバー力の合計)が最大になる
・各プロセスに対するドライバー力について、著しく低い箇所が無い
(ドライバー力の下限を設定し、それを上回る解を導く)
以上2点を条件として設定し、解析します。
最適化の条件は課題に応じて都度変更、再解析を行えますので、例えば企業側が狙った特定の購買行動を促進するための最適解、等も導く事が可能です。この様にブランドコミュニケーションポートフォリオを用いることで、課題に応じてコンタクトポイントにおけるブランドコミュニケーションを最適化する事が可能となります。