アウトプットの解釈

今回は“ファストファッションブランド(衣料量販店)が新規出店するにあたって、サイト・セレクターを使って候補地を選定する“という設定で分析を行います。出店する店舗について、以下の情報はすでに分かっている状況で話を進めます。
〈検討する候補地〉
・候補地A、候補地B、候補地Cの3つの候補地から1つの候補地を選定する
〈店舗のターゲット・コンセプト〉
・その地域の“あまりお金をかけず、オシャレで機能性にも優れたファッションを志向する”20~30代女性
まず、候補地ごとに同じ商圏内にある競合店を特定します。今回出店する店舗の『その地域の“あまりお金をかけず、オシャレで機能性にも優れたファッションを志向する”20~30代女性』というターゲット・コンセプトと競合すると考えられる店舗を探索し、上図のように候補地と同じ商圏内にある競合店を特定しました。

次に、ターゲットに対する「店舗の集客要因」「商圏の集客要因」を把握します。この例では、店舗の集客要因の候補として“店員の対応”、“レジ周りの速さ”などをとり上げ、商圏の集客要因の候補として“商圏世帯数”、“世帯平均年齢”などをとり上げています。
これらの集客要因について、同系列・同業界の店舗データを収集し、解析を行うことで、重要な集客要因を特定します。分析の結果、店舗の集客要因として『品揃え』『話題性』、商圏の集客要因として『世帯平均年齢』『主動線からの距離』がそれぞれ重要な集客要因であることが分かりました。

重要な集客要因を特定できたため、この重要な集客要因を用いて候補地ごとに集客数の予測を行います。候補地Aについて分析を行う場合、候補地Aが含まれる商圏Aの出店店舗・競合店の重要な集客要因のデータを収集し、データを解析して出店店舗・競合店ごとに来店する確率を算出します。
この例では、出店店舗、競合店X、競合店Yの来店確率がそれぞれ算出されており、出店店舗の来店確率は35%と算出することが出来ました。この来店確率と商圏全体の見込み客数を掛け合わせることで、予測集客数を算出します。分析の結果、候補地Aの予測集客数は”11,900人/月”と算出されました。

先ほどは候補地Aを例に予測集客数を算出しましたが、他の候補地も同様に分析を行うことで、候補地ごとに予測集客数を算出することができます。得られた候補地ごとの予測集客数を比較すると、『候補地A』が集客数が最も多いことが分かります。
このように、店舗の集客要因と商圏の集客要因によって、候補地ごとの集客数を予測し、予測された集客数によって候補地を選定することで、過去の経験や勘だけに頼らない、データに基づいた候補地の選定を行うことが出来ます。