媒体別認知率計画法
出稿計画と市場調査:
「媒体別の目標認知率の算出方法」
ブランドの売上目標を達成する為に必要な、メディアごとの目標認知率を推定
アウトプットの解釈

まず売上目標を達成するために必要となる、ターゲット消費者”全体”での認知率を計算します。上図はその目標認知率を売上予測モデルによって算出するイメージです。ここでは商材が冷凍食品なので、トライアル購買とリピート購買という2つの購買行動を前提として売上を予測する、「トライアルリピートモデル」を予測モデルとして使用しています。
トライアルリピートモデルでは、売上を予測するために必要な変数として、上市する製品のトライアル率、リピート率などの値を市場調査によって求め、配架率、フェイス率などの値にはマーケティングの計画値を設定していきます。これらの値を設定したモデル上で、予測売上が売上目標値に到達するような「認知率」をシミュレーションにより逆算することで、売上目標を達成するために必要な全体認知率が求まります。この例では、ターゲット消費者全体で認知率30%を獲得することで、年間の目標売上を達成できるとして話を進めます。

さて、ターゲット全体で30%の認知率をとるには、どの様な媒体で、どれ位の認知率をそれぞれ獲得すればよいでしょうか。媒体ごとに獲得すべき認知率は、モデルの予測が大きく外れることがないよう、過去の類似製品や同一カテゴリ製品のメディアミックスにおけるアクチュアルの認知率(実際に獲得できた認知率)データを参考に求めていきます。具体的には、媒体ごとに、その媒体で認知した人数比をノルム値として設定し、その比率に合わせて目標認知率を算出します(認知媒体の重複は許します)。
上表では、「TVで認知した人数」を”1”とした時の、媒体ごとの認知比率をノルム値として算出しています。「雑誌で認知」は”0.20”となっていますので、この製品カテゴリではTVは雑誌の5倍の認知ポテンシャルを持つ媒体と考えることができます。従って、TVの目標認知率は雑誌の目標認知率の5倍になるように算出されることになります。
先ほどの売上予測モデルから、ターゲット全体での目標認知率が30%と求まっている為、上記の様な媒体別のノルムを制約として課した上で、全体として30%の認知率が獲得できるように最適化計算を行うと、”「TVで認知」=24.2%、「雑誌で認知」=4.8%”といった媒体別の目標認知率が算出されます(この時、媒体別の目標認知率は、ノルムの認知比率に合わせた比率で算出されています)。
このように、「媒体別認知率計画法」では、売上目標を達成する為に必要な各媒体ごとの認知率を、過去の実績・経験則を参考に算出することができます。これを各媒体の目標認知率として設定し、それを達成できるようなメディアプランを作成する事で、媒体計画全体のスコープマネジメントを行うことが可能となります。